スポーツを通じたSDGs~サポーターや地域社会との価値共創~

公開日:2022/07/06

当社は、持続可能な社会の実現に寄与するためSDGsの取り組みにも積極的に力を入れております。サッカーでの活動を軸に東北の復興に貢献するベガルタ仙台様とサステイナブルパートナーシップを結び、また、ベガルタ仙台様の「SDGs基本指針」策定も支援いたしました。

 

「スポーツを通じたSDGsの実践を続けているベガルタ仙台様の魅力をもっと発信していきたい」、そして、「SDGsの専門家から方法論、実効的な会社・地域の巻き込み方を伝えていきたい」という想いから、「スポーツを通じたSDGs~サポーターや地域社会との価値共創~」という共催セミナーを開催いたしました。

 

そこでは、SDGsの専門家である株式会社国際開発センター(IDCJ)様をお招きし、「 SDGsセミナー ~SDGsを経営に活用する~」と題した基調講演とベガルタ仙台 代表取締役社長の佐々木知廣様、当社代表取締役社長 北村俊樹とのパネルディスカッションを行いました。

「SDGsセミナー ~SDGsを経営に活用する~」

SDGs経営コンサルティング、セミナー講師派遣、開発途上国におけるSDGsビジネスサポートなどを展開するSDGs室所属、岡本麻代様による基調講演でスタートし、その中で、経営にSDGsを活用するにあたっては「過去の実績を整理し、自社の事業と活動を紐づける」ことの重要性、そして「将来像を描き目標を設定」するための未来設計が求められることをご説明いただきました。

 

まず、「過去の自社の実績を整理する」にあたっては、SDGsが設定している17のゴールを無理に紐づけようとすると範囲が広すぎてしまい、自社活動との関連性があいまいになってしまいます。

 

それぞれ自社が持つ経営のターゲットと事業活動との関連性を見つけるために、ワークショップなどで抽出したターゲットリストから、マトリックスを使って優先度を絞り込み、ステークホルダーへの意見聴取を踏まえ、目標を特定していくプロセスが効果的であることを説明いただきました。

 

 

出所:株式会社国際開発センター

 

続いて、「将来像を描き目標を設定する」にあたっては、10~30年後を見据え、会社として「どうありたいか・どうあるべきであるか」を検討することが重要であると説明いただきました。

 

そのためにも、企業が持つ事業活動のバリューチェーンを検討し、その中で取り組まなくてはならない優先課題のリスクと機会を特定し、それらを整理していくことで、企業としての将来像が設定されていきます。

 

出所:株式会社国際開発センター

 

また、こうした取り組みは、投資家や従業員の枠組みを超えた多くのステークホルダーに発信することで効果を発揮していくものです。

 

各社様によるサステナビリティレポートなど、自社の取り組みを伝える冊子の発行は大幅に拡充しており、コミュニケーションの質も量も変化しています。SDGsは単なるラベル付けや本業とかけ離れたアプローチではなく、自社としてありたい姿、目指したい姿に向けてどう進めていくか、を具体的に考え行動するプロセスだとお話いただきました。

ベガルタ仙台×ライズ社長対談

 

続いて、岡本様によるリードのもと、パネルディスカッションを通じて、ベガルタ仙台様、当社が考えるSDGsを説明しました。質問に回答する形でご紹介しましょう。

 

ベガルタ仙台が5つのSDGs基本方針を設定するにあたって考慮した背景とは?

佐々木

ベガルタ仙台として、SDGsに取り組むにあたって、言葉は知っているが、何のために取り組むのかの理解が進んでいない状況でありました。どこから手を付けて良いか分からなかった状況の中、スポンサーであったライズに相談をしたところサポートを快諾いただき、そこからベガルタ仙台としてSDGsへの取り組みが加速したという経緯があります。

 

日々の業務に追われている中で、新たな仕事を作る、という意識を作っては上手くいかないと感じており「なぜやるのか」という納得感の醸成や一人ひとりにとってSDGsを「自分ごと化」する重要性を理解してもらうよう、社員に語りかけ落とし込んでいきました。

 

また、仙台は高齢化が全国的に群を抜く速さで進行しており、お客様がスタジアムに足を運んでくれなくなるかもしれないという危機意識を募らせていたこともあり、SDGsへの取り組みはベガルタ仙台にとっての生存戦略の一つであることを社員に実感させました。そこからよりクラブ全体としての意識も大きく変わっていったのではないかと思っています。

 

私はリスク管理の業務に経験していたこともあり、ベガルタが持つバリューチェーンをマッピング、カラーリングをすることで、ベガルタ仙台にとって重要な課題を特定し、SDGs基本方針を3、4、11、12、17の5つに絞っていきました。

ライズが取り組んでいきたいSDGsゴールとは?

北村

当社は経営コンサルティングを生業としており、日々顧客の経営課題を解決することに力を注いでいます。

 

経営課題を解決する際には、常にイシュー(論点とも言います)は何かを考えるのですが、この世の中において解くべき最大の論点は「幸せであるかどうか」だと思っています。

 

その中で発生する経営課題はすべてサブイシューだと考えており、ベガルタ仙台様にあてはめると、「サッカーを介して関わる人々を幸せにする」ことが最大のイシューではないでしょうか。これが真のSDGs概念であり、各ゴールは人々が幸せであり続けるために自分たちで何が出来るかを追求し、持続的な情熱を傾けていくことではないかと考えました。

 

当社では、SDGs基本方針のうち8、9、17の3つを重視しています。当社が取り組むことの多い新規事業やNew Techコンサルティングは、時代の潮流を作り、次の世代に向けて残していきたいという想いを実現する9に該当します。

 

17については、一企業では限界はあるものの、パートナーとつながることで、新しい世界を作っていきたいという想いを、8は、社員の可能性を開放することを目指し、きっかけや制度作りを進め、我々と関わる人々には、充実した毎日を過ごしてほしいという想いを実現するものとして目標に設定しています。

 

また、ベガルタ仙台様とも協力して、宮城県内のとある自治体と連携して地域活性や経済成長に結びつけていきたいと考えています。

 

ベガルタ様が取り組んでいらっしゃるSDGsの取り組みとライズが考えるベガルタ様の価値についてお聞かせください。

佐々木

ベガルタではスタジアムを核とした泉中央地区の活性化という方針を掲げています。近々、スタジアムの改修を予定しておりますが、地域の方の意見を収集する「ワイガヤの会」を設定し、次回はSDGsをテーマにした討議をいただきます。将来的にはSDGsスタジアムと呼んでいただけるようなスタジアムにしていくためにも、地元の方と共生した場を作っていきたいと考えています。

 

北村

ベガルタ仙台様の価値は地域に根差したクラブであること、震災からの復興を今も取り組まれているという2点が大きな価値であると考えています。

私自身、幼少期からサッカーに親しみ、多くのスタジアムにも足を運ぶことでサッカーが生み出す感動を肌で感じてきました。当社としても、ベガルタ仙台様が進めている取り組みの姿勢に共感し、パートナーシップを組んでいる経緯もあります。今後も一緒にSDGsに向けて実績を積み重ねていきたいと思っています。

 

佐々木:ベガルタは市民クラブであり、地域の声を聴き運営していくというメッセージを発信しています。東日本大震災を経験したクラブとして防災という観点は忘れてはならないと考えています。

そしてスポーツが与える幸せ、感動をどう提供できるかを徹底的に考えて、形を変えて提供していくことを追求することが「ベガルタが仙台に存在する」意義だと考えております。

将来的には、「この街であなたが残したいものは何ですか?」を問われた時に、「ベガルタ仙台」と言ってもらえるようなクラブにしていくことがSDGsに貢献する意義であり、我々の存在意義でもあるのです。

カンファレンスを終えて

SDGsは取り組むにあたって、方法論や課題解決に向けたプロセスなど様々な要素があり、経営目標の達成や経営課題の解決に取り組むことも重要ではありますが、それ以上にSDGsを「自分ごと」として捉えること、「幸せ」を実現するために何が出来るかという考え方を持つことでより具体的なアクションが見えてくるものであります。

 

IDCJ様からの講演や、佐々木社長のベガルタ仙台の取り組みの事例を伺うことで、具体的に何から始めて、どのように活動者の意識に落としこんでいくかについて明確になりました。参加者からも、「SDGsの意義を常に再確認することの大切さ、そして、見える化、自分ごと化で、従業員が自ら主体的に取り組むよう意識づけすることを学べた」、「『どう自分ごと化させるか』についての重要性とその手法が興味深かった。」といった声をいただきました。

当社では、SDGsへの取り組みを通じて持続的な社会の発展への貢献を目指しています。そして、サステイナブルパートナーシップを締結したベガルタ仙台様とも新たなチャレンジを進めることで東北地方の発展に貢献していく所存です。

 

このように、当社以外の方と様々な人やアイデアを紡ぐことが、創造のスパイラルを生み出すカギになると考えております。今後もパートナー企業との共催ウェビナーやパートナー企業とのインタビュー、カンファレンスなどを紹介し、当社とパートナーが創り出すスパイラルの一端を感じていただければと思います。